冬の入浴事故を防ぐ——浴槽で亡くなる65歳以上は年7,363人(令和6年)、交通事故の3倍以上。脱衣所を暖める、湯は41度以下で10分まで、急に立ち上がらない。冬が来る前に家で整えておくこと
消費者庁によると、浴槽内で溺れて亡くなった65歳以上の人は2024年(令和6年)に7,363人。同じ年に交通事故で亡くなった65歳以上の人の3倍以上です。しかも冬に多く起きています。
この記事は、冬が来る前——暖房器具を出す前に——家で整えておけることのまとめです。体調や持病がある方は、入浴の仕方についてかかりつけの医師に相談してください。
数字で見る——年7,363人、交通事故の3倍以上
| 項目(令和6年・人口動態統計) | 人数 |
|---|---|
| 浴槽内での、および浴槽への転落による溺死・溺水の死亡者 | 7,776人 |
| うち65歳以上 | 7,363人(約95%) |
| (参考)65歳以上の交通事故の死亡者 | 2,103人 |
消費者庁は、家や居住施設の浴槽での事故が11月から4月の冬季を中心に多く起きていると注意を呼びかけています。前年(令和5年)の数字でも、「不慮の溺死及び溺水」で亡くなった65歳以上8,270人のうち、浴槽での事故が6,541人(うち家や居住施設の浴槽が6,073人)と、約8割が入浴中でした。
なぜ冬に多いのか
消費者庁は、冬の入浴中の事故の原因として次の2つを挙げています。
- 温度差による急な血圧の変動——暖かい居間から寒い脱衣所で服を脱ぎ、寒い浴室から熱い湯に入る
- 熱い湯に長くつかることによる体温の上昇で、意識がぼんやりする——そのまま湯に沈んでしまう
つまり対策は、温度差を小さくすることと、熱すぎず・長すぎない入浴の2つに集約されます。
入浴前にすること
- 脱衣所と浴室を前もって暖めておく——温度差を小さくするため
- 温度計を置いて、部屋ごとの温度差を「見える」ようにする
- 入浴前に水分をとる(入浴中でも喉が渇いたらこまめに)
- 食後すぐ、お酒を飲んだあと、薬を飲んだあとの入浴は避ける——毎日飲んでいる薬がある方は、入浴の時間帯を医師や薬剤師に相談してください
- 同居の家族に「今から入るよ」と一声かける
入浴中に気をつけること
- 湯温は41度以下、つかるのは10分までを目安に——温度計やタイマーで「見える」ようにする
- 浴槽から急に立ち上がらない——手すりや浴槽の縁につかまって、ゆっくり
- 意識がもうろうとしてきたら、気を失う前に湯を抜く
家族にできること
消費者庁は、高齢者がいる家庭に、入浴していることを気にかけておき、「時間が長い」「音がまったくしない」「突然大きな音がした」など異常を感じたら、ためらわずに声をかけるよう呼びかけています。
ひとり暮らしの場合は、この「気にかける人」がいません。入浴の時間を家族に知らせておく、見守りのサービスや緊急通報の仕組みを使う、といった備えが効きます。自治体の緊急通報システムや見守りの選び方はひとり暮らしの見守り5つの型にまとめました。
浴室そのものを直す——介護保険で20万円まで
要支援・要介護の認定を受けている方なら、浴室の手すりの取付け、滑りにくい床への変更、浴室の段差の解消は、介護保険の住宅改修の対象です。20万円の工事までなら費用の7〜9割が支給されます。ただし工事の前に市区町村へ申請するのが原則です。手順は介護保険の住宅改修は20万円までに書きました。
認定を受けていない方向けに、予防的な改修を助成している市区町村もあります。住まいの窓口で聞いてみてください。
冬が来る前にやっておくこと
- 脱衣所に置ける小型の暖房器具があるか確かめる(転倒しにくい置き場所、コードに足を引っかけない配置も)
- 居間・脱衣所・浴室に温度計を置く
- 浴室に湯温計とタイマーを置く
- 浴槽の出入りでつかまる場所があるか確かめる。なければ手すりを検討する
- 家族と「入浴の時間を知らせる」「長いと思ったら声をかける」を決めておく
- ひとり暮らしなら、見守り・緊急通報を冬の前に整える
入浴中に具合が悪くなった人を見つけたら、湯を抜いて、すぐに119番通報を。迷ったときは、救急車を呼ぶべきか相談できる #7119(救急安心センター事業。実施していない地域もあります)も使えます。
冬の前に、家の備えを順番に
浴室の手すりや段差の工事は介護保険の住宅改修は20万円まで、ひとり暮らしの備えはひとり暮らしの見守り5つの型へ。火の元と警報器は火災警報器は10年で交換、地震の備えは家具の固定と感震ブレーカーと高齢者の防災で。
「うちはこう工夫している」という話は、質問・リクエスト箱から教えてください。
出典
- 消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」(令和7年12月23日。人口動態統計〈令和6年〉:浴槽内での及び浴槽への転落による溺死及び溺水の死亡者数7,776人、うち65歳以上7,363人〈約95%〉、65歳以上の交通事故の死亡者数2,103人で3倍以上。事故の原因、入浴前・入浴時のポイント、家族の声かけ) (2026年9月25日確認)
- 消費者庁 コラムVol.12「高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―」(令和6年12月19日。令和5年:不慮の溺死及び溺水で亡くなった65歳以上8,270人、うち浴槽6,541人〈家や居住施設の浴槽6,073人〉で約8割。湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安に。脱衣所・浴室を暖める、温度計、水分補給、食後・飲酒後・医薬品服用後は避ける、同居者に一声、急に立ち上がらない、意識がもうろうとしたら湯を抜く) (2026年9月25日確認)
- 消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」(高齢者の不慮の溺死及び溺水の死亡者数は交通事故より多い。家や居住施設の浴槽の事故が11月〜4月の冬季を中心に多く発生。入浴前に脱衣所や浴室を暖める、浴槽から急に立ち上がらない、食後・飲酒後・医薬品服用後の入浴を避ける、同居者に一声掛ける) (2026年9月25日確認)
- 総務省消防庁「救急車の適時・適切な利用(#7119)」(救急安心センター事業) (2026年9月25日確認)