冬の暖房器具の事故——ストーブの火災、湯たんぽ・カイロの低温やけど、閉め切った部屋の一酸化炭素中毒。事故は11月ごろから増えて12月がピーク。使う前の点検と、寝る前の一手間
朝晩が冷えてきて、押し入れから暖房器具を出す季節です。NITE(製品評価技術基盤機構)によると、暖房器具の事故は11月ごろから増えて、12月がピークになります。
この記事は、冬の暖房器具で起きやすい火災・低温やけど・一酸化炭素中毒と、その防ぎ方を、NITE・消防庁・東京消防庁・消費者庁などの資料にそってまとめたものです。
数字で見る
- 暖房器具の製品事故は5年で596件:2020〜2024年の5年間にNITEが集めた、ストーブ・ファンヒーター・こたつなど主な暖房器具の製品事故の情報は596件で、毎年8割以上が火災でした。電気ストーブ・電気ファンヒーターと、石油ストーブ・石油ファンヒーターで約8割を占めます(NITE)。
- 亡くなった人も:同じ5年間で、電気暖房器具の死亡事故は18件(19人)、石油暖房器具は45件(51人)でした。
- 住宅火災で亡くなる人の4人に3人は65歳以上:2024年の住宅火災の死者(放火自殺者などを除く)1,030人のうち、65歳以上は779人(75.6%)でした(消防庁)。
- 東京では、電気ストーブ:東京消防庁によると、死者が出たストーブ火災の約8割は電気ストーブで、その約8割は、燃えやすいものが触れたり落ちたりして起きています。
何が原因になっているか
石油暖房器具の事故263件、電気暖房器具の事故208件のうち、原因が多かったものの上位3つ(原因が特定できたものなど)。石油の1位は、ふたから漏れた灯油に火がついた事故です。このほか、石油では清掃不足(12件)、電気では燃えやすいものの接触(11件)もあります。
使う前と、使うときの点検
NITEは、次のような点検を呼びかけています。
- 電源コードとプラグ:傷んでいないか、折れ曲がったり家具の下敷きになったりしていないか。たこ足配線にしない。延長コードを使うときは、つないだ機器の消費電力の合計が、延長コードの最大の消費電力を超えないようにする
- 安全装置:倒れたら止まる機能や、揺れで火が消える装置が働くか確かめる
- リコール:持っている製品がリコールの対象になっていないか確かめる(消費者庁のリコール情報サイトで、製品名などから調べられます)
- 灯油:昨シーズンの灯油は使わない。灯油とガソリンは別の場所に保管して、誤って給油しないようにする。カートリッジタンクの給油口のふたが確実に閉まり、漏れがないか確かめる
- まわりとの距離:壁や燃えやすいものとの距離を十分にとる。ストーブで洗濯物を乾かさない
東京消防庁も、ストーブの近くで洗濯物を乾かさないこと、給油は必ず火を消してからにすることを呼びかけています。NITEは、電気ストーブについて、電源を入れたまま寝たり外出したりしないよう注意しています。
低温やけど——湯たんぽ・カイロ・電気あんか
熱いと感じないくらいの温度でも、長い時間肌に触れていると、やけどになることがあります。NITEは、目安として次のように紹介しています。
| 肌に触れている温度 | 低温やけどになるまでの時間の目安 |
|---|---|
| 44℃ | 3〜4時間 |
| 46℃ | 30分〜1時間 |
| 50℃ | 2〜3分 |
血流や皮膚の感覚には個人差があり、44℃より低くても低温やけどになるおそれがあります。NITEは、高齢者は若い人に比べて感覚が鈍く、熱源に触れている時間が長くなるため、重症化する傾向があるとし、糖尿病の人なども特に注意が必要だとしています。
- 湯たんぽ:布団が温まったら、布団から出す(消費者庁)
- 電気あんか:寝るときはスイッチを切るか、体に触れない距離まで十分に離す
- カイロ:直接肌に当てない。寝るときには使わない。こたつの中や暖房器具の近くで使わない
- 電気マット:布団の中に入れて、寝るための暖房器具として使わない
消費者庁は、低温やけどは皮膚の深いところまで達することがあり、見た目より重症の場合があること、水で冷やしても効果はないことを伝えています。皮膚の変色や痛み、違和感などがあれば、見た目が軽くても自分で判断せず、すぐに皮膚科などの医療機関を受診してください(消費者庁)。
一酸化炭素中毒——閉め切った部屋で使わない
一酸化炭素は、色もにおいもなく、気づきにくい気体です。東京消防庁によると、2020〜2024年の5年間に、都内の住宅で30件の一酸化炭素中毒の事故があり、七輪・火鉢などの炭や、調理器具、暖房器具によるものが多くなっています。冬の12月・1月に多く起きています。
- 換気:石油ストーブなど、部屋の空気を使って燃える暖房器具は、こまめに換気する。東京都は、石油ストーブを使っているときは1時間に1〜2回(1〜2分)程度の換気を呼びかけています
- 寝る前に消す:NITEは、ほこりのたまった石油ストーブを閉め切った部屋で使ったまま寝て、亡くなった事故を紹介し、寝るときは使わず、寝る前に確実に火を消すよう呼びかけています
- 炭や練炭を、部屋の中で使わない。古い石油ストーブは、ほこりの掃除をしてから使う
- 警報器:一酸化炭素を感知する警報器をつけることも、早く気づくのに役立ちます(東京消防庁)
暖房器具を使っていて気分が悪くなったら、一酸化炭素中毒を疑ってください。暖房器具を止め、窓を開けて換気し、屋外など新鮮な空気のある場所に移動します。意識がないなど緊急のときは、迷わず119番に連絡してください(佐渡市消防本部の応急手当の案内)。
家族ができること
- シーズンの初めに、親の家の暖房器具を一緒に点検する(コード・給油口・まわりの物・リコール)
- 灯油とガソリンを同じ場所に置いていないか確かめる
- 住宅用火災警報器が、寝室についているか、電池が切れていないかを確かめる(住宅用火災警報器の交換)
チェックリスト
- 暖房器具を出したら、電源コード・プラグ・安全装置を確かめた
- リコールの対象になっていないか、消費者庁のサイトで調べた
- 昨シーズンの灯油は使わない。給油は火を消してから、給油口のふたは確実に閉める
- ストーブのまわりに洗濯物・カーテン・布団など燃えやすいものを置かない
- 寝る前にストーブを消す。湯たんぽは布団が温まったら出す。寝ているあいだはカイロを使わない
- 石油ストーブを使うときは、こまめに換気する
冬の家の安全を、ほかにも
火災に早く気づく備えは住宅用火災警報器の交換、冬のお風呂は冬の入浴事故を防ぐ、家の中の転倒は家の中の転倒を防ぐ、ひとり暮らしの親はひとり暮らしの見守りへ。
「うちではこうしている」という工夫は、質問・リクエスト箱から教えてください。
出典
- NITE(製品評価技術基盤機構)「ストーブとの程よい距離感が大切です」報道発表(2025年10月30日。2020〜2024年の5年間に主な暖房器具の事故596件、電気と石油で約8割、毎年約8割以上が火災、11月頃から増加し12月がピーク、電気暖房器具208件〈死亡18件・19人〉、石油暖房器具263件〈死亡45件・51人〉、原因別件数、4つの点検ポイントと1つの注意ポイント) (2026年10月8日確認)
- NITE 同 発表資料(PDF) (2026年10月8日確認)
- NITE「足元の暖房器具による低温やけど」報道発表資料(2025年1月14日。44℃で3〜4時間・46℃で30分〜1時間・50℃で2〜3分、44℃以下でもおそれ、高齢者は感覚が鈍く重症化する傾向、糖尿病の方は特に注意、電気あんか・カイロ・電気マットの注意) (2026年10月8日確認)
- NITE 電気ストーブ等の事故 報道発表資料(2023年12月26日。可燃物の近くで使用しない、電源を入れたまま就寝や外出しない) (2026年10月8日確認)
- NITE PSマガジン Vol.423(2023年2月28日。ほこりのたまった石油ストーブを閉め切った部屋で使ったまま就寝し死亡した事故、就寝時には使用せず寝る前に確実に消火) (2026年10月8日確認)
- 消防庁「令和6年(1月〜12月)における火災の状況(確定値)」(住宅火災の死者〈放火自殺者等を除く〉1,030人のうち65歳以上779人・75.6%) (2026年10月8日確認)
- 東京消防庁 報道発表資料(令和6年12月17日。死者が発生したストーブ火災の約8割が電気ストーブ、そのうち約8割は可燃物の接触・落下) (2026年10月8日確認)
- 東京消防庁「ストーブの周りに、物を置かないようにしましょう。」(ストーブの近くで洗濯物を乾かさない、給油は必ず消してから) (2026年10月8日確認)
- 東京消防庁「住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意!」(令和2年から令和6年までの5年間に住宅等で30件、炭・調理器具・暖房器具が多い、一酸化炭素を感知する警報器の設置も有効) (2026年10月8日確認)
- 東京都生活文化局「石油ストーブを安全に使用しましょう!」(令和2年11月18日。使用中は1時間に1〜2回〈1〜2分〉程度換気) (2026年10月8日確認)
- 消費者庁「ゆたんぽを安全に正しく使用しましょう!」(令和2年12月16日。布団が暖まったら取り出す、高齢者や糖尿病の方は感覚が鈍くなっていることがあり重症化しやすい、低温やけどは皮膚の深いところまで達することがあり見た目より重症の場合がある、皮膚の変色や痛み・違和感などの異常を感じたときは自身で判断せずすぐに皮膚科等を受診) (2026年10月8日確認)
- 消費者庁「高齢者のやけどに御注意ください!」(平成27年11月18日。低温やけどは水で冷やしても効果はない、見た目より重症の場合がある) (2026年10月8日確認)
- 佐渡市消防本部「一酸化炭素中毒になったときの応急手当」(暖房器具などを止める、室内を換気する、新鮮な空気のある場所に移動する、緊急時は119番)※消防本部の例 (2026年10月8日確認)
- 消費者庁「リコール情報サイト」 (2026年10月8日確認)