小規模多機能型居宅介護——「通い・泊まり・訪問」をひとつの事業所で、月額の定額制。看護がつく「看護小規模多機能」も。向いている人、費用の目安、ケアマネジャーが変わる点
デイサービスに通い始めたけれど、急に泊まりが必要になったときは別の施設を探さなければならない。認知症のある親は、知らない場所や人が増えると落ち着かない——。そんなときの選択肢の一つが、小規模多機能型居宅介護(「しょうたき」と呼ばれることもあります)です。
この記事は、小規模多機能型居宅介護と、看護がつく看護小規模多機能型居宅介護について、厚生労働省の介護サービス情報公表システムや運営の基準、自治体の案内にそってまとめたものです。施設に入る前に、在宅でできることを考えるときの参考にしてください(施設に入る前に、まだできること)。
どんなサービスか
「通い」を中心に、短期間の「泊まり」や、自宅への「訪問」を組み合わせて利用するサービスです。厚生労働省の基準は、利用者が住み慣れた地域での生活を続けられるよう、通い・訪問・宿泊を柔軟に組み合わせることを求めています。
- 少人数:1つの事業所に登録できるのは29人以下。通いは1日おおむね15人以下(条件により18人まで)、泊まりは9人以下です。
- 顔なじみの職員:通いで顔なじみになった職員が、泊まりや訪問にも対応します。
- 月額の定額制:通い・泊まり・訪問の回数にかかわらず、介護保険の自己負担は月ごとの定額です(食費・宿泊費・おむつ代などは別)。
- 地域密着型サービス:原則として、事業所がある市区町村に住む人しか利用できません。
看護小規模多機能型居宅介護(看多機)
小規模多機能に、看護師などによる訪問看護を組み合わせたサービスです。医療的なケアが必要な人も、在宅で暮らし続けやすくなります。2012年に「複合型サービス」として始まり、その後「看護小規模多機能型居宅介護」という名前になりました。
- 利用できるのは要介護1〜5の人で、要支援1・2の人は利用できません。
- 登録の定員などは、小規模多機能と同じです。
全国の事業所数は、2024年10月時点で、小規模多機能型居宅介護が5,478か所、看護小規模多機能型居宅介護が1,074か所です(厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」)。看多機は、2020年の711か所から4年で約1.5倍に増えています。
費用の目安
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」の目安(要支援は介護予防小規模多機能型居宅介護)。加算や地域による差を含まない金額で、都市部では高くなります。食費・宿泊費・おむつ代などは別にかかります。
看護小規模多機能型居宅介護の目安(1割負担・同じ建物に住んでいない場合)は、要介護1で月12,447円、要介護2で17,415円、要介護3で24,481円、要介護4で27,766円、要介護5で31,408円です。
- 地域による差:介護の費用は地域によって単価が違います。たとえば東京都江東区の案内では、小規模多機能の要介護1の自己負担は月11,609円(1割)と、全国の目安より高くなっています。
- 別にかかるもの:食費・宿泊費・おむつ代などの日常生活費や、事業所ごとの加算の分がかかります。
- 使い方によっては高くなることも:小金井市は、利用の状況によっては、それぞれのサービスを別々に契約した場合より費用が高くなる可能性がある、と案内しています。たとえば、通う回数が少ない月でも定額がかかります。
- 上限の仕組み:介護保険の自己負担が多くなった月は、高額介護サービス費で上限を超えた分が戻ります。ただし、食費・宿泊費・おむつ代などの保険外の費用は対象になりません(介護にいくらかかるか)。
使う前に知っておきたい2つのこと
1. ケアマネジャーが、事業所の人に変わる
小規模多機能を使うと、ケアプランは事業所のケアマネジャーが作ります。いま担当のケアマネジャーがいる場合は、交代することになります。厚生労働省の審議会でも、ケアマネジャーが変わることへの抵抗感から利用に至らないケースがある、という意見が出ています。家族でよく話し合ってください。
2. 一緒に使えないサービスが多い
小規模多機能を使っているあいだは、ほかの多くの介護サービスが使えなくなります。自治体の案内では、一緒に使えるのは訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具の貸与などに限られ、デイサービスや訪問介護、ショートステイなどは別に使えません。小規模多機能では外部の訪問看護を一緒に使えますが、看多機は訪問看護をサービスの中で行うため、外部の介護保険の訪問看護は一緒に使えません。福祉用具の購入や住宅改修は使えます(小金井市の案内)。いま通っているデイサービスをやめる必要があることも考えて決めてください。
どんな人に向いているか
小金井市は、向いている人の例として次のような人を挙げています。
- いつも顔なじみの職員からサービスを受けたい人
- 認知症の人(認知症のない人も利用できます)
- 状態が変わりやすい人、環境の変化が苦手な人
- 退院後の一人暮らしに不安がある人
横浜市も、環境の変化に敏感な高齢者(特に認知症の人)の不安を和らげることができる、と説明しています。
| 小規模多機能 | デイサービスなどを別々に使う | |
|---|---|---|
| 職員 | 通い・泊まり・訪問を同じ事業所の職員が担当 | サービスごとに違う事業所・職員 |
| 費用 | 月額の定額(食費などは別) | 使った回数に応じて |
| ケアマネジャー | 事業所のケアマネジャー | いまのケアマネジャーのまま |
| ほかのサービス | 多くは併用できない | 組み合わせを自由に選べる |
探し方・申し込み方
- 要介護認定(要支援なら介護予防小規模多機能)を受けていることが前提です(要介護認定の申請から結果まで)。
- お住まいの市区町村にある事業所を、介護サービス情報公表システムや市区町村の一覧で探し、事業所に直接相談します。いまのケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するのもよい方法です。
- 見学では、通い・泊まりの空き状況、泊まりの部屋、職員の顔ぶれ、加算や食費などの実際の月額を確かめましょう。
チェックリスト
- 小規模多機能と看多機のどちらが合うか(医療的なケアの必要性)を考えた
- 住んでいる市区町村にある事業所を調べた(原則、ほかの市区町村の事業所は使えない)
- ケアマネジャーが変わること、デイサービスなどが使えなくなることを家族で確かめた
- 食費・宿泊費・加算を含めた、実際の月額を事業所に確かめた
- いまのサービスを続けた場合の費用と比べた
在宅の介護を、ほかにも
介護保険を使い始める手続きは要介護認定の申請から結果まで、泊まりのサービスはショートステイの使い方と費用、負担の割合は介護保険の自己負担は1割・2割・3割、施設の種類は老人ホームの8種類へ。
「使ってみてこうだった」という話は、質問・リクエスト箱から教えてください。
このテーマをまとめて読む:老人ホームのまとめ
出典
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「小規模多機能型居宅介護」(通いを中心として短期間の宿泊や自宅への訪問を組合せ、1か月の自己負担の目安〈1割〉要支援1 3,450円〜要介護5 27,209円、日常生活費〈食費・宿泊費・おむつ代など〉は別途負担) (2026年10月9日確認)
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「看護小規模多機能型居宅介護」(要支援1・2の人は利用できない、自己負担の目安 要介護1 12,447円〜要介護5 31,408円) (2026年10月9日確認)
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスの種類と内容」(地域密着型サービスを利用できるのは原則としてサービスを提供する事業者のある市町村に住む人) (2026年10月9日確認)
- e-Gov法令検索「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(第66条 登録定員29人以下・通い・宿泊の定員、第71条 食事・宿泊・おむつ代、第73条 柔軟に組み合わせる、第74条 介護支援専門員が居宅サービス計画を作成) (2026年10月9日確認)
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造」(令和8年6月1日。小規模多機能型居宅介護費・看護小規模多機能型居宅介護費の単位数) (2026年10月9日確認)
- 厚生労働省「令和6年 介護サービス施設・事業所調査」参考表(各年10月1日現在。小規模多機能型居宅介護5,478、複合型サービス〈看護小規模多機能型居宅介護〉1,074〈令和2年711〉) (2026年10月9日確認)
- 厚生労働省「平成23年 介護保険法改正の概要」(複合型サービスを創設、平成24年4月1日施行) (2026年10月9日確認)
- 厚生労働省「平成27年度介護報酬改定の骨子」(看護小規模多機能型居宅介護に改称) (2026年10月9日確認)
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第228回)資料「小規模多機能型居宅介護」(令和5年10月23日。ケアマネジャーが変更となることへの抵抗感から利用に至らないケースがあるとの意見) (2026年10月9日確認)
- 小金井市「多機能型サービス(小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護)をご活用ください」(顔なじみの職員、向いている人の例、ケアマネジャーの変更が必要、他の居宅サービス・地域密着型サービスの利用が制限〈訪問看護・訪問リハ・居宅療養管理指導・福祉用具貸与・販売・住宅改修は利用可。看護小規模多機能では訪問看護を除く〉、各サービスを別々に契約した場合より高くなる可能性)※自治体の例 (2026年10月9日確認)
- 松江市「小規模多機能型居宅介護」(支給限度額の範囲内で利用できるのは訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・福祉用具貸与で、これ以外は利用できない)※自治体の例 (2026年10月9日確認)
- 横浜市「小規模多機能型居宅介護」(環境の変化に敏感な高齢者〈特に認知症の方〉の不安を和らげる)※自治体の例 (2026年10月9日確認)
- 江東区「小規模多機能型居宅介護」(要介護1 116,083円〈利用者負担11,609円〉)※自治体の例 (2026年10月9日確認)