誠一の老後メモ

知らないと損をすることを、ひとつずつ。

老人ホームが選べない——8種類を「1枚の表」と「選ぶ順番」で整理しました

「介護付き、住宅型、サ高住……名前が似ていて、違いが分からない。結局どれを選べばいいの?」——先日、そんな声を聞きました。

選べないのは、当然です。高齢者向けの住まい・施設は種類が多く、名前も似ています。しかも比べる軸が「介護の重さ」「お金」「医療の必要度」「地域」と4つも絡むので、パンフレットを並べただけでは決まりません。

この記事では、候補になることが多い主な8種類に絞って1枚の表に整理し、そのうえでどの順番で絞れば選べるのかをまとめます(8つという数え方はこの記事の整理です。ほかにも養護老人ホームや健康型有料老人ホームなどがあります)。

まず、大きく2つに分けて考えます

細かい名前を覚える前に、この区別だけ押さえてください。この記事での便宜的な分け方で、厳密な法律上の区分ではありません(たとえばケアハウスやグループホームの運営には民間・非営利などさまざまな主体があります)。

  • 介護保険の施設・福祉の施設(特養・老健・介護医療院・ケアハウス)——費用は抑えめで、所得に応じた軽減のしくみもあります。そのぶん入居条件がはっきり決まっていて、人気の施設は待機があります。
  • 民間の住まい(介護付き有料・住宅型有料・サ高住・グループホーム)——選択肢が広く空きも見つけやすい一方、費用やサービスは施設ごとの差がとても大きいです。

8種類の見取り図

種類主な対象入居金費用感ひとことで
特別養護老人ホーム(特養)〔介護保険施設〕原則、要介護3以上(1・2は特例あり)なし抑えめ(所得で軽減のしくみあり)長期の入所を前提とする有力候補。ただし待機があることが多い
介護老人保健施設(老健)〔介護保険施設〕要介護1以上なし抑えめ自宅に戻るためのリハビリ施設。長期の住まいではない
介護医療院〔介護保険施設〕要介護1以上で長期の医療が必要な方なし抑えめ〜中くらい医療と介護を一体で受けながら長く療養する場所
ケアハウス(軽費老人ホーム)〔福祉施設〕60歳以上で、自宅での生活に不安がある方少なめの施設が多い抑えめ(所得に応じた料金)収入が少なめでも入りやすい。介護型なら要介護になっても住み続けやすい
介護付き有料老人ホーム〔民間〕自立〜要介護(施設による)0円〜高額まで幅が大きい中〜高め「特定施設」の指定を受けたホーム。一般型ではホームの職員から、外部サービス利用型では委託先の事業者から介護を受ける
住宅型有料老人ホーム〔民間〕ホームによる(自立から重度まで幅がある)0円〜幅あり中くらい+使った分の介護費住まいと食事はホーム、介護は外部の訪問・通所を個別に契約して使う
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)〔民間〕60歳以上、または要支援・要介護認定のある方敷金程度が多い中くらい安否確認と生活相談つきの賃貸住宅。暮らしの自由度が高い
グループホーム〔民間・地域密着〕認知症の診断があり、要支援2以上施設による中くらい認知症の方が少人数で共同生活。原則、施設のある市区町村に住民票のある方が対象(例外あり)

費用の金額をあえて書いていないのは、地域・部屋の種類(個室か相部屋か)・施設によって差が大きすぎるからです。「相場の一覧表」を信じて見学に行くと、だいたい裏切られます。有料老人ホームでは重要事項説明書、サ高住では「登録事項等についての説明」や入居契約書に、費用やサービスの内容が示されます。それ以外の施設でも契約の前に必ず書面での説明があります。そこで確かめてください。ただし住宅型有料のように介護費を外部と別契約する住まいは、書類1枚では総額が見えません。「介護サービスを使ったら、月の合計はいくらになりますか」と、合計額で質問するのがコツです。

選ぶ順番は「介護度 → お金 → 地域」

8種類を前にして迷子になったら、この順番で絞ります。

① 介護の重さと、医療の必要度で絞る

  • 要介護3以上——特養が候補に入ります(費用面で最有力)。
  • 認知症の診断がある——グループホームが候補に入ります。
  • たんの吸引や経管栄養など、医療的なケアが続く——介護医療院や、医療対応をうたう介護付き有料が中心になります。
  • まだ元気なうちに住み替えたい——サ高住・住宅型・ケアハウスが中心です。

② お金は「月々」で考える

目を引くのは入居金ですが、先に見るべきは月々の支払いです。施設暮らしは何年も続きます。「毎月の年金+無理なく取り崩せる貯蓄」で払い続けられる月額はいくらか——そこから逆算してください。月額に、介護保険の自己負担・医療費・おむつ代などが含まれているのか、別なのかも施設によって違います。

③ 地域と空きで絞る

  • 特養は地域によって待機の長さがまったく違います。
  • グループホームは原則として、施設のある市区町村の住民が対象です(区域外指定などの例外があります)。
  • 「親の家の近く」か「子の家の近く」かで、その後の面会のしやすさが大きく変わります。

収入から見る、現実的な考え方

「収入によって案内してほしい」という声もいただきました。施設の費用は地域差が大きく、金額の線引きに公的な基準はないので、あくまで考え方の筋道の例としてお読みください。

  • 年金が国民年金中心の方——介護保険施設・福祉施設を軸に考えます。要介護3以上なら特養、元気なうちの住み替えならケアハウス。条件を満たせば、特養・老健・介護医療院の食費・居住費が軽減される制度(負担限度額認定)も使えます(後述)。
  • 公的な施設以外の月額も、継続して払える方——上に加えて、サ高住・住宅型・グループホームまで視野に入ってきます。
  • 貯蓄もあわせて充てられる方——介護付き有料を含めて選択肢が広がります。そのぶん、入居金の「償却」の仕組み(途中で退去したらいくら戻るか)と、月額に含まれない費用(医療費・おむつ代・保険外サービスなど)をよく確認してください。

これは「収入で行き先が決まる」という意味ではありません。払い続けられる月額から逆算すると、見学に行くべき施設が絞れる、という順番の話です。

費用で知っておきたい3つのこと

  1. 介護保険のサービス費の自己負担は、所得に応じて1〜3割です。
  2. 特養・老健・介護医療院(とショートステイ)では、食費・居住費の軽減(負担限度額認定)を申請できます。目安は「世帯全員(世帯を分けた配偶者も含む)が住民税非課税」で、そのうえで預貯金や年金収入の基準もあります。「非課税なら必ず使える」ではないので、当てはまりそうなら市区町村の窓口で確認してください。それでも、非課税かどうかが最初の大きな分かれ目であることは変わりません。
  3. 介護サービスの自己負担分には月ごとの上限(高額介護サービス費)があり、超えた分は申請すると戻ります。ただし対象は介護サービスの自己負担分だけで、食費・居住費・日常生活費は対象外です(月額まるごとに上限があるわけではありません)。

迷ったら、無料の相談先があります

施設選びを一人で(ご家族だけで)抱える必要はありません。地域包括支援センターはすべての市区町村にあり、無料で相談できます。すでに要介護認定を受けている方は、担当のケアマネジャーが施設の情報を持っています。

そして見学は、必ず2か所以上。1か所だけ見て決めると、比べる物差しがないまま契約することになります。

この表は、思い立ったときに見返せるよう保存しておいてください。ご家族と「どの順番で絞るか」を話すたたき台になれば幸いです。

介護のお金を、ご自身の数字で確かめられます

施設選びの分かれ目になる「住民税非課税かどうか」は、住民税非課税ライン 判定で目安を確かめられます。65歳から全員が払う介護保険料の目安計算もあります。入力した内容は保存されません。

施設選びについて「ここが知りたい」があれば、質問・リクエスト箱から教えてください。記事や診断の形でお答えしていきます。

この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。症状が続くとき、痛みが強いときは、自己判断せず医師にご相談ください。