誠一の老後メモ

知らないと損をすることを、ひとつずつ。

年金の「扶養親族等申告書」令和9年分——届く人が増えました。所得税がかからない人も、住民税がかかるなら提出が必要に。出さなくていい人・書き方・出し忘れたとき

毎年秋、日本年金機構から「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」という書類が届きます。名前が長く、何を書けばいいのか、そもそも出す必要があるのか、迷う方が多い書類です。

しかも令和9年分(2026年秋に届くもの)から、届く人と出す必要がある人が増えました。この記事は、何の書類か、出す人・出さなくていい人、書き方、出し忘れたときの順にまとめます。年金から何がいくら引かれているかの全体は年金の天引きに書きました。

何の書類か——年金から引く税金に「控除」を反映するため

一定以上の年金を受け取っている人は、年金から所得税が差し引かれています(源泉徴収)。このとき、配偶者控除・扶養控除・障害者控除・寡婦控除などを反映させるための申告書です。出すと、その分だけ差し引かれる税金が少なくなります。

令和9年分からは、もうひとつ役割が増えました。申告した内容は日本年金機構を通じて市区町村に伝えられ、翌年の住民税の計算に使われます。

令和9年分で変わったこと

65歳以上65歳未満
所得税が源泉徴収される年金額(令和7年分まで)年158万円以上年108万円以上
同(令和8年分)年205万円以上年155万円以上
同(令和9年分)年214万円以上年164万円以上
申告書が送られてくる年金額(令和9年分)年148万円以上年98万円以上

(年齢は令和9年12月31日時点。退職共済年金には別の基準があります)

源泉徴収の基準は上がったのに、送られてくる範囲は広がっています。理由は、令和8年度の税制改正で、所得税が源泉徴収されない人でも、住んでいる市区町村の住民税の「単身者の非課税限度額」以上の年金がある人は、申告書を出すことが義務づけられたからです。

この「単身者の非課税限度額」は市区町村ごとに1級地〜3級地に分かれていて、65歳以上なら年金148万〜155万円(65歳未満は98万〜105万円)です。扶養している家族の人数などを反映した、ご本人の実際の非課税の基準とは別の、ひとり暮らしを前提にした基準です。日本年金機構は一人ひとりの市区町村の限度額をつかめないため、いちばん低い基準(148万円・98万円)以上の人全員に送っています。つまり、届いても出す必要がない人もいます。

届く時期と提出期限

年金額紙の申告書が届く時期提出期限
65歳以上 年214万円以上/65歳未満 年164万円以上令和8年9月7日〜9月30日令和8年10月20日
65歳以上 年148万〜214万円未満/65歳未満 年98万〜164万円未満令和8年10月5日〜10月30日令和8年11月30日

実際の期限は、届いた書類に書かれている日付で確かめてください。次の人には、紙の申告書は届かず、案内だけが届きます。

  • 前の年に電子申請で出した人、ねんきんネットでペーパーレスの登録をした人——マイナポータルやねんきんネットのお知らせで案内されます。10月20日までに提出がないと、11月に案内のはがきが届きます
  • 昭和36年1月2日以降に生まれた人——電子申請の手引きが届きます。10月20日までに提出がないと、11月にあらためて紙の申告書が届きます

出さなくていい人

次の3つがすべて当てはまる人は、届いても出す必要はありません。

  1. 本人が障害者・寡婦・ひとり親などに当たらない
  2. 控除の対象になる配偶者や扶養親族がいない
  3. 退職手当などを受け取る見込みの配偶者や親族がいない

また、年金額が住んでいる市区町村の住民税の「単身者の非課税限度額」に届かない人も、出す必要はありません。自分の地域の区分は、日本年金機構の「住民税の非課税限度額基準について」のページか、市区町村で確かめられます。

出さなくても基礎控除は受けられます。日本年金機構は、出した場合と出さなかった場合で所得税の税率に差はなく、5.105%だと説明しています。違うのは、配偶者控除や扶養控除などが反映されるかどうかです。

出す必要があるのに出さないと

所得税が源泉徴収される人(65歳以上で年214万円以上など)は、申告書で申告する配偶者控除や障害者控除などが反映されないまま税額が計算されます(基礎控除は反映されます)。

住民税では、申告した内容が翌年の計算に使われます。出さないと、住民税でもこれらの控除が反映されません。所得税・住民税とも、確定申告や市区町村への住民税の申告をしないと、配偶者控除や障害者控除などを受けられません。控除を受けるには、前の年と内容が変わらなくても毎年の提出が必要です。

書き方のポイント

前の年と同じなら「変更なし」に丸

前の年に出した人には、前年の内容が印刷された申告書が届きます。内容が変わっていなければ、「ア.前年から『変更なし』で申告します。」に丸をつけ、氏名を書けば出せます。押印は要りません。

配偶者・扶養親族を書くときの条件(令和9年分)

書く人条件(その年の所得の見積額)
配偶者(源泉控除対象配偶者)本人の所得が900万円以下、配偶者の所得が95万円以下
昭和33年1月1日以前生まれの配偶者(老人控除対象配偶者)本人の所得が900万円以下、配偶者の所得が62万円以下
源泉控除対象親族(16歳以上)所得が62万円以下(19〜22歳は85万円以下)
本人が寡婦・ひとり親本人の所得が500万円以下。婚姻の状況や扶養親族の有無など、寡婦・ひとり親それぞれの要件がある(夫と死別した女性は、扶養親族がいなくても寡婦に当たる場合がある。同封の手引きで確認)

配偶者は法律婚に限られ、生計を一にしていることなど、所得以外の要件もあります。詳しくは同封の手引きで確かめてください。

扶養親族の所得の上限は、税制改正で58万円から62万円に上がりました。

「所得の見積額」は、年金なら「年金額 − 公的年金等控除」

ここでいう所得は、受け取る額(収入)ではありません。年金の場合は、令和9年(2027年)中に受け取る年金額の見込みから公的年金等控除を引いた額です。いまの年金額を参考に見積もります。65歳以上で年金が330万円以下なら、控除は110万円です。年金だけの人の目安は次のとおりです。

  • 65歳以上で年金が172万円以下なら、所得は62万円以下
  • 65歳以上で年金が205万円以下なら、所得は95万円以下

たとえば、65歳以上の妻の令和9年中の年金が年80万円の見込みで、ほかに所得がなければ、所得は0円なので、夫の申告書に配偶者として書けます(法律婚で生計を一にし、夫の所得が900万円以下の場合)。非課税とされる遺族年金などは、この見積額に入れません。

出し方——郵送か、電子申請

  • 郵送——同封の返信用封筒に切手を貼って投函します(普通郵便は110円)
  • 電子申請——マイナポータルとねんきんネットを連携している人は、スマートフォンやパソコンから出せます。前年の内容が入力された状態で始まり、次の年からは紙が届かなくなります

出し忘れた・内容が変わったとき

  • 期限を過ぎても、すぐに出す——所得税が源泉徴収される人は、配偶者控除や障害者控除などが反映されずに税額が計算されますが、出せばさかのぼって所得税を再計算してくれます
  • 出したあとで内容が変わった(結婚した、障害者になった、扶養の条件に当てはまらなくなった人がいる、など)——税金の過不足は、確定申告や市区町村への住民税の申告で精算します
  • 扶養親族が年の途中で亡くなった——その年の扶養親族として申告できます
  • それでも出さなかった——確定申告をすれば、控除を受けて税金が戻ることがあります。年金収入400万円以下などの「確定申告不要」の人でも、戻ってくる分の申告はできます(年金と確定申告)

なお、企業年金などのいわゆる3階建ての部分の年金は、この申告書の対象ではありません。

今日できること

  1. 届いた封筒の中の提出期限を確かめ、カレンダーに書く
  2. 自分が「出さなくていい人」の3条件に当てはまるか確かめる
  3. 配偶者や親を扶養しているなら、いまの年金額を参考に、その人の令和9年(2027年)中の年金収入とその他の所得の見積額を出す
  4. 前年と同じなら「変更なし」に丸と氏名。切手を貼って投函する
  5. 親の分を家族が手伝うなら、親の年金の額と、扶養している人がいるかを一緒に確かめる

年金の税金を、順番に

年金から何がいくら引かれるかは年金の天引きと年金の手取り計算、確定申告が要るかは年金と確定申告へ。親が要介護で障害者控除を使えるかは障害者控除対象者認定書をどうぞ。

「ここが分かりにくかった」という話は、質問・リクエスト箱から教えてください。

このテーマをまとめて読む:年金のまとめ

出典

この記事は、日本年金機構と国税庁の公表資料にもとづく一般的な情報です。提出が必要かどうか、控除の対象になるかどうかは、ご本人と家族の所得や状況によって異なります。書き方に迷ったときは、同封の手引きをご覧になるか、日本年金機構の問い合わせ窓口、または年金事務所でご確認ください。