誠一の老後メモ

知らないと損をすることを、ひとつずつ。

介護度が進んだら、住み替え?——「出なくてはいけない」を避けるために、見学で聞く3つの質問

施設選びの不安で、いちばん重いのはこれではないでしょうか。「せっかく入ったのに、介護が重くなったら『出てください』と言われないか」

ご自身の住み替えを考えている方にも、親御さんの施設を探している方にも、同じ順番でお話しできます。結論を先に言うと——施設ごとに「対応できる介護・医療の範囲」が違うため、範囲を超えると住み替えが必要になることがあります。ただし、それは契約の前に確かめられます。この記事はその確かめ方の話です。

施設の種類そのものがあいまいな方は、先に8種類の見取り図をどうぞ。

なぜ「出なくてはいけない」が起きるのか

施設は、建物の造り・職員の体制・提携する医療機関によって、受け止められる状態の範囲が決まっています。入居したときは範囲の中でも、介護度が進む、認知症の症状が変わる、医療的なケア(たんの吸引、経管栄養など)が必要になる——そうして範囲を超えたとき、契約に沿って退去や住み替えの相談になります。

これは施設が意地悪をしているのではなく、対応できないものは対応できないという話です。ただし、施設が一方的に「明日出てください」と決められるという意味ではありません。特に有料老人ホームでは契約解除の条件や手続きが定められており、介護の状態を理由とする住み替えや契約解除には、医師の意見や本人・身元引受人の意向確認などの手続きが求められます。それでも——だからこそ、選ぶ側が先に範囲と手続きを確かめておく必要があります。

8種類の「その先」——ざっくりした傾向

あくまで傾向です。同じ種類でも施設ごとの差が大きいので、最後は必ず個別に確認してください。

種類介護が重くなったとき
特別養護老人ホーム(特養)長期の入所を前提とする施設。ただし長期の入院などの場合は契約により退所となることがある
介護老人保健施設(老健)そもそも自宅復帰を目指す施設で、入所の継続は定期的に判定される。長く住む場所ではない
介護医療院長期の療養が前提。医療が必要になっても対応しやすい
ケアハウス一般型は、介護が重くなると住み替えになることがある。介護型(特定施設)は住み続けやすい
介護付き有料老人ホーム重度化対応をうたう施設が多いが、医療的ケアの内容によっては住み替えの相談になることがある。看取りへの対応は施設による
住宅型有料老人ホーム外部の介護サービスで支える形のため、支えきれない状態になると住み替えになることがある。対応範囲はホームによる差が大きい
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)自立中心の住宅から、重度の方や看取りに対応する住宅まで差が大きい。特定施設の指定の有無、夜間の体制、介護・医療との連携を個別に確認する
グループホーム認知症ケアの専門だが、医療的ケアが増えると退去の相談になることがある

「終の住処」か「中継地」か——最初に決めておく

表を見て「住み替えのない施設を選ばなければ」と思われたかもしれません。でも、実はもう一つの考え方があります。

  • 終の住処として選ぶ——看取りまで対応する施設を最初から選ぶ。月額は高くなる場合がありますが、住み替えの心配が小さい。
  • 中継地として選ぶ——元気なうちはサ高住などで自由に暮らし、重くなったら特養などへ移る2段構え。元気な時期の暮らしに合う住まいを選びやすい一方、将来の住み替え費用が必要になります。

どちらが正解ということはありません。大事なのは、「住み替えがありうる施設」だと知って選ぶのと、知らずに選ぶのとでは大違いだということです。中継地プランにするなら、住み替えの費用(引っ越し・新しい入居金)と、次の行き先の候補まで、最初の資金計画に入れておきます。

見学で聞く、3つの質問

パンフレットには「その先」のことはあまり書いてありません。見学で、口頭で、この3つを聞いてください。答え方で施設の性格が分かります。

  1. 「どういう状態になったら、退去の相談になりますか」——あいまいに濁す施設より、「たんの吸引が夜間も必要になった場合は」など具体的に答えてくれる施設のほうが信頼できます。
  2. 「看取りまで対応していますか」——最期までこの施設で、と考えているなら必ず。対応している場合も、どんな体制か(夜間の看護など)まで聞けると安心です。
  3. 「入院したら、部屋はどうなりますか」——長めの入院のあいだ部屋を確保してもらえるのか、その間の費用はかかるのか、どのくらいの入院で契約が終わるのか。ここは盲点になりがちです。

そして答えを聞いたら、書面でも確かめます。有料老人ホームでは、重要事項説明書だけでなく入居契約書と管理規程まで見てください。退去(契約解除)の条件、入院中の居室と費用、状態が変わったときの手続きが書かれています。口頭の説明と書面が食い違っていないかを見れば、重要な確認ができます。あわせて、書面どおりの体制が実際にあるか——職員の配置や看取りの実績——も聞けると、より確かです。

今日から確かめられること

  1. 候補の施設が「終の住処」タイプか「中継地」タイプか、上の表で当たりをつける
  2. 見学の予定があるなら、3つの質問をメモしていく(この記事を保存してそのまま使ってください)
  3. 中継地プランを考えるなら、「次の行き先」の候補(特養の待機状況など)を地域包括支援センターに聞いてみる

施設選びは「入るとき」だけでなく「入った後」まで見て、はじめて安心できます。ご家族と話すときの、たたき台になれば幸いです。

あわせて読む・確かめる

施設の種類そのものを整理したいときは8種類の見取り図へ。費用の分かれ目になる住民税非課税ライン 判定もあります。

「うちの場合はどうなる?」という疑問があれば、質問・リクエスト箱から教えてください。記事の形でお答えしていきます。

施設の入居条件・費用・サービスは、施設や自治体によって大きく異なります。契約の前に必ず書面(重要事項説明書など)で確認し、迷ったときは地域包括支援センターや担当のケアマネジャーにご相談ください。