誠一の老後メモ

知らないと損をすることを、ひとつずつ。

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庭の雑草と木の手入れ、いつまで自分でやるか——脚立に乗らない線引き、頼み先の4つ、訪問してきた業者の断り方

庭のある家に長く住んでいる方から、「雑草が追いつかない」「木が大きくなりすぎて自分では切れない」という声をよく聞きます。若い頃は週末に済んでいたことが、70代になると腰と暑さで続かなくなる。それでも放っておけないのは、庭が自分の家の中で完結しないからです。伸びた枝は隣の敷地に入り、雑草は虫と苦情を呼び、空き家になれば税金の話にまでつながります。

この記事では、「放っておくとどうなるか」を先に整理したうえで、自分でやる範囲の線引き頼み先の4つ、見積もりの取り方、そして庭の手入れで多い訪問してきた業者とのトラブルへの対処をまとめます。

放っておくと、話は3方向に広がる

①隣の家へ——はみ出した枝は、隣人が切れるようになった

2023年(令和5年)4月1日施行の改正民法で、隣の敷地にはみ出した枝の扱いが変わりました。民法233条は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に枝を切除させることができる、という原則を保ちつつ、次の3つの場合には越境された側の土地の所有者が自分で枝を切り取れると定めています。

  • 竹木の所有者に枝を切るよう催告したのに、相当の期間内に切らないとき(横浜市の案内では、目安はおおむね2週間程度)
  • 竹木の所有者が分からない、または所在が分からないとき
  • 急迫の事情があるとき(台風で折れそうな枝など)

根については以前から、越境した側が切り取れます(同条4項)。逆の立場でいえば、自分の庭の木が隣にはみ出していると、隣人から「切ってください」と言われ、催告後も放置すれば、法定の条件を満たす範囲で隣人自身が切り取れる場合がある、ということです。切除にかかった費用も、竹木の所有者に請求できると考えられる、と横浜市は案内しています。枝が隣に伸びているなら、言われる前に手入れするのが、いちばん安く済む方法です。

②自治体へ——空き地の雑草は条例の対象になることがある

多くの自治体に、使用されていない空き地の雑草を対象とする条例があります。たとえば東京都北区の「あき地の管理の適正化に関する条例」では、所有者や管理者は、雑草が茂って生活環境が著しく損なわれた「危険な状態」にならないよう常に適正に管理する責務があり、区は現地調査のうえ、雑草を除去するよう勧告します(北区では、人が住んでいる土地や空き家は対象外)。柏市のように「年2回以上(7月・10月ごろ)の除草」を目安として示している自治体もあります(柏市では、使用していない家屋がある土地はあき地に当たらず、空き家の担当課の扱い)。建物がある住宅の庭や空き家の敷地が対象になるかは、自治体や条例によって異なります。こうした条例のある自治体では、近所からの相談を受けて現地を確認し、所有者へ通知する例があります。相続した土地を空き地のまま持っている方は、いちばん関係が深い話です。

③税金へ——空き家なら「管理不全空家」で軽減が外れる

実家が空き家になっている場合は、もう一段重い話になります。2023年12月13日施行の改正空家法で、放置すれば「特定空家」になるおそれのある家を「管理不全空家」として市区町村が指導・勧告できるようになり、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例(土地の税額を軽くする特例)が解除されます。雑草や庭木の放置は、その判断材料のひとつです。ただし、雑草が生えただけで直ちに特例が外れるわけではなく、市区町村の指導のあとも改善されず、勧告を受けた段階で対象外になります。実家じまいの順番は実家じまい・生前整理——後悔しない順番にまとめています。

自分でやる範囲の線引き——「脚立に乗る作業はやらない」

頼み先の話の前に、自分でやる範囲を決めておきます。庭の手入れで起きている事故は、国の相談窓口の集計ではっきり型が見えています。

道具・場面何が起きているか(公的集計)線引きの目安
脚立・はしご国民生活センターの医療機関ネットワークに寄せられた転落事故433件(2010年12月〜2019年2月)のうち、60〜70代が半数以上。屋外が約8割で庭木の手入れ中の事故が目立つ。骨折が4割、頭蓋内損傷や脊髄損傷、死亡3件脚立に乗って刃物を使う作業は、人に頼む。地面に立って手が届く高さまでを自分の範囲にする
刈払機(草刈機)消費者庁に5年間で88件(2015年4月〜2020年3月)。刈刃への接触・巻き込まれが半数以上で、手指の切断など。5月と7〜8月に多い。国民生活センターの直近集計(2019年度〜2024年6月・29件)でも刈刃接触が59%、飛散物が38%使うなら取扱説明書・保護具・滑りにくい靴、15m以内に人がいるときは止める。慣れていないなら使わず、手押しの草刈り道具か依頼に
除草剤「農薬として使用することができない」と表示された除草剤(道路や駐車場向け)を、花木や家庭菜園に使うのは農薬取締法で禁止。使えるのは容器に「農林水産省登録第〇号」がある製品家庭菜園・芝・花木などの栽培・管理に使うなら「農林水産省登録第○号」のある製品を、ラベルの対象植物・使用方法どおり、無風のときに。未登録の除草剤は道路や駐車場など栽培・管理を目的としない場所向け。隣家が近いなら事前に一声
暑さ高齢者は暑さを感じにくいうえ、発汗や体温調節の機能が低下していて、熱中症になりやすい(政府広報)7〜9月の日中はやらない。朝の涼しい時間に短く区切り、始める前と途中でこまめに水分をとる。熱中症警戒アラートの日は屋外作業をしない

線引きの言い方はひとつです。「地面に立ってできることは自分で。脚立と刈払機は頼む」。これだけで、重いけがにつながる危険を大きく減らせます。

頼み先は4つ——作業に合わせて選ぶ

頼み先どういうもの向いている作業注意点
①シルバー人材センター市区町村ごとにある公益法人。地域の60歳以上の会員が、臨時的・短期的または軽易な仕事を請け負う。連絡→見積→センターとの請負契約→作業→請求、という流れ(八王子市の例)草取り・草刈り・低い植木の剪定・落ち葉の掃除繁忙期は待つことがある。高所作業など受けられない仕事もある。会員個人と直接契約はしない
②自治体の高齢者向け生活援助ひとり暮らしや高齢者のみの世帯を対象に、庭の草取りなど家まわりの軽い手入れを低額で頼める事業がある自治体も。たとえば能代市の「軽度生活援助事業」は、おおむね65歳以上の単身・高齢者のみ世帯が対象で、援助員1人1時間につき100円(世帯全員が非課税)または300円草取り・軽い手入れ・除雪など、事業ごとに決まった範囲あるかどうか、名前、条件は自治体で違う。市区町村の高齢者福祉課か地域包括支援センターに「庭の手入れを手伝ってもらえる制度はありますか」と聞く
③民間の造園・庭木剪定・草刈り業者造園業者、庭木の専門業者、便利屋など。高木の剪定・伐採、広い面積の除草、防草シート施工まで。たとえば、全国対応で見積もりを取れる通販型の窓口としてお庭マスター(PR・剪定・伐採・草刈り)や草刈り110番(PR・草刈り・除草)があります。ほかにも同様の業者は複数あるので見比べてください脚立・高所・チェーンソーが要る作業、木を減らす・庭を作り替える作業必ず複数社の明細つき見積もり(次の項)。訪問してきた業者とその場で契約しない
④介護保険の外側で組み合わせる訪問介護(ヘルパー)の生活援助では、草むしりや花木の水やりなど日常の家事の範囲を超える行為は介護保険の対象になりません。ただし、事業所によっては介護保険のサービスと明確に分けた「保険外サービス」として自己負担で提供している場合がある(厚労省通知で、訪問介護の前後に草むしりを保険外で提供する例が挙げられている)すでにヘルパーが来ている家で、ついでに頼みたい軽い作業ケアマネジャーか事業所に「保険外で庭の手入れは頼めますか」と聞く。料金は事業所ごと

順番としては、まず①か②で「毎年の草取り」を回し、木が大きすぎる・脚立が要る作業だけ③に出す、という組み合わせが、費用も安全も両立しやすいと思います。

見積もりの取り方——「一式」で受けない

庭の作業は、終わってみないと量が分かりにくいので、金額のもめごとが起きやすい分野です。見積もりで確かめる項目を決めておきます。

  1. 作業の単位が書いてあるか。「剪定一式」「草刈り一式」ではなく、木の本数と高さ、除草の面積(畳何枚分でも可)、作業日数。
  2. 処分費が入っているか。枝や草の運び出しと処分は別料金のことが多い。「処分込み」か「別」かを必ず確認。
  3. 追加が出る条件。「掘ってみたら根が大きかった」など、追加になりうる場合と上限を先に聞く。
  4. 複数社に同じ条件で頼む。庭の写真を撮って同じ写真を見せれば、条件がそろう。1社の金額だけでは高いか安いか判断できない。
  5. その場で決めない。「今日中なら安くする」は、考える時間を奪う言い方。見積もりを持ち帰って家族に見せてから決める。不審な勧誘や契約なら消費者ホットライン188に、公的な支援制度のことは地域包括支援センターに相談する。

相場の金額はこの記事には書きません。木の高さ・本数・地域・処分の有無で大きく変わり、出典つきで示せる相場が存在しないからです。上の5項目で見積もりを並べれば、自分の庭の相場は見えてきます。

飛び込みで訪ねてきた業者との契約は、作業後でも取り消せる場合がある

庭は外から見えるので、「木が伸びていますね、安く切りますよ」と飛び込みで訪ねてくる業者がいます。東京都の消費生活相談には、高齢でひとり暮らしの母親の家に植木屋が来て、庭木3本を切り雑草を抜いたあとに10万円を請求され、金額を聞いても答えないまま作業を進められた、という事例が寄せられています。

覚えておいてほしいのは、業者が突然訪ねてきて自宅で結んだ契約は、原則として「訪問販売」にあたり、法律で定められた書面を受け取った日から8日以内なら、書面か電子メールなどで契約を解除(クーリング・オフ)できることです。消費者庁の特定商取引法ガイドによれば、作業(役務)が終わっていても対価を支払う必要はなく、すでに払った代金は返してもらえ、庭など土地の現状が変えられている場合は無償で元に戻してもらえます。法律で定められた事項が書かれた書面を受け取っていなければ、8日の数えかたはまだ始まっていません。ただし、自分から「家に来て契約したい」とはっきり頼んで呼んだ場合など、契約の経緯や支払方法によっては適用されないことがあるので、判断に迷ったら消費者ホットライン188に相談してください。

  • その場で払わない、その場で契約書に名前を書かない。「家族に相談してから」と言って帰ってもらう。
  • 払ってしまった・作業されてしまったら、8日以内にはがき(特定記録郵便など)か電子メールでクーリング・オフを通知し、控えを残す。
  • 返金されない、しつこいときは消費者ホットライン188(最寄りの消費生活センターにつながる)に電話する。

離れて暮らす家族が心配なら、玄関に「訪問販売お断り」を貼るのと合わせて、「庭の業者は〇〇に頼んでいるから、ほかは断っていい」と本人に言っておくのが、いちばん効きます。断る相手が決まっていれば、迷いません。

手入れのいらない庭に近づける——「減らす」順番

毎年頼むお金と手間を減らすなら、庭そのものを手のかからない形に変えていくのも選択肢です。順番は「減らす→覆う→低くする」です。

  1. 木を減らす。実のならない大木、隣に枝が出る木、落ち葉が多い木から順に。伐採は③の業者へ。切り株を残すと後で困るので、抜根まで頼むか、残す場合は理由を確認する。
  2. 土を覆う。草が生える面積を減らす。防草シート+砂利、または人工芝・コンクリートなど。施工は自分でもできるが、面積が広ければ③へ。
  3. 残す木は低く仕立て直す。「脚立なしで手が届く高さ」まで一度下げてもらえば、そのあとは自分で維持しやすい。

庭は、元気なうちは楽しみで、あるときから負担に変わります。変わる前に「脚立に乗らない」「頼み先を決めておく」の2つだけ決めておけば、庭のことで大きなけがをしたり、隣や役所ともめたりするリスクを減らせます。

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「うちの自治体に草取りの制度があるか知りたい」「見積もりを見てほしい」といった声は、質問・リクエスト箱から教えてください。記事の形でお答えしていきます。

出典

この記事は国と自治体の公開資料をもとにした一般的な情報です。雑草の条例、高齢者向けの生活援助、シルバー人材センターの受けられる仕事は市区町村ごとに違います。隣家との枝や境界のもめごとは、まず話し合いを、こじれたときは弁護士や自治体の法律相談へ。業者との契約トラブルは消費者ホットライン188にご相談ください。暑い時期の屋外作業は無理をせず、体調が悪いときは中止してください。