誠一の老後メモ

知らないと損をすることを、ひとつずつ。

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聞こえの備え——補聴器と集音器はまったくの別物、という話から

テレビの音量が大きいと家族に言われる。聞き返しが増えた。会話がおっくうになってきた——。加齢による聞こえの変化は、ゆっくり進むことが多く、本人ほど気づきにくいものです。

このとき、通販で「よく聞こえる機械」をいきなり買うのは、順番としておすすめしません。最初の一歩は耳鼻科です。理由とあわせて、機器の違いとお金の話を整理します。

まず耳鼻科へ——理由は2つ

  1. 治る難聴があるから——耳あかのつまりや中耳の病気など、治療で聞こえが戻る場合があります。機械を買う前に、その可能性を確かめるのが先です。
  2. あとで出てくる「医療費控除」の入口だから——補聴器の購入費は、医師の判断や年間の医療費などの条件を満たすと、医療費控除の対象になります。利用を考える場合は、購入前に補聴器相談医へ相談してください(後述)。先に買ってしまうと、この手順が踏めません。

受診の際は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が認定する「補聴器相談医」のいる耳鼻科を選ぶとスムーズです(学会のサイトで検索できます)。

ただし、急に聞こえが悪くなった場合は別です。症状が続くのを待たず、相談医を探すより先に、速やかに近くの耳鼻咽喉科を受診してください。痛みがなくても、耳鳴りや耳の詰まった感じ、めまいを伴うことがあります。突発性難聴などは早く治療を始めることが大切とされています。

補聴器と集音器——名前は似ていて、中身は別物

補聴器集音器(助聴器)
位置づけ医療機器(国の基準で効果・安全性の審査あり)医療機器ではない(音を大きくする家電)
調整販売店でその人の聴力に合わせて調整して使う製品によって異なる(音量・音質を調節できるものもある)
値段高め(片耳数万〜数十万円)手頃(数千円〜数万円)
向いている場面難聴と診断され、日常的に聞こえを補いたい「たまにテレビや会話で少し補いたい」程度の使い方

集音器が悪いものだ、という話ではありません。手軽さは長所です。ただし「補聴器の安い版」ではなく、別のカテゴリの道具だと知って選んでください。集音器の機能は製品によって差があり、音量・音質を調節できるものもありますが、補聴器と同じ医療機器としての基準を満たしたものではありません。不要な音まで大きくなり、大きすぎる音にさらされるおそれも指摘されています。難聴の診断を受けた方の日常使いには、聴力に合わせて調整できる補聴器が本来の道具です。受診の結果「補聴器はまだ早い」と言われた場合も、困っている場面(テレビ・会話など)を医師に伝え、集音器などを使ってよいか相談してから選ぶのが安全です。そのうえで集音器を試すなら、ミミクリア(PR)のような通販の製品があります。どの製品を選ぶ場合も、返品の条件と、音量を上げすぎない使い方を確認してください。

補聴器のお金——控除と助成

  • 医療費控除の対象になる場合があります(手順が大事)——購入前に補聴器相談医を受診し、診療・治療のために直接必要と判断された場合に、「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を作成してもらいます。この証明があると、一般的な水準を著しく超えない部分の購入費が医療費控除の対象になります(国税庁が取り扱いを公表)。学会は、あとから過去の購入について書類を出すことは適切でないとしているので、必ず購入前に。なお医療費控除は、年間の対象医療費から保険金や助成金などで補填された額を差し引き、さらに10万円(総所得金額等が200万円未満の方は、その5%)を差し引いた額を、所得から控除する仕組みです(控除額の上限は200万円)。購入費そのものが戻る制度ではありません。
  • 自治体の助成がある地域も——障害者手帳の対象にならない「軽度・中等度」の難聴の方向けに、購入費の一部を助成する自治体が増えています。金額も条件も地域差が大きいうえ、購入前の申請と交付決定が必要で、決定前に買うと対象外になる自治体があります。年齢・所得・聴力・購入店などの条件と必要書類を、買う前に市区町村の窓口で確認してください。
  • 高度の難聴の方は障害福祉の制度——障害者手帳の対象になる聴力の方は、補装具費の支給という別の制度があります。聴力の条件を満たせば自動で支給されるのではなく、申請・判定・市区町村の決定という手順があります。窓口は市区町村です。
  • 買う前に試す・買った後も調整する——補聴器は購入前に試用して、聞こえ方・装着感・返品の条件を確認しましょう。購入後も継続的な調整やメンテナンスが必要です(国民生活センターも勧めている流れです)。

今日から確かめられること

  1. ご家族に「最近、聞き返し増えてる?」と聞いてみる(自分では気づきにくいので)
  2. 思い当たる方は、補聴器相談医のいる耳鼻科を探して受診する
  3. 補聴器の話になったら、買う前に診療情報提供書・自治体の助成・試用と返品条件を確認する

あわせて確かめる

医療のお金の備え全体は医療・介護の備えチェック(無料診断)で整理できます。医療費が高くなったときの上限は高額療養費のかんたん目安計算へ。※一般的な補聴器本体の購入費は高額療養費の対象ではありません(医療費控除や購入助成とは別の制度です)。

聞こえについてのご質問は質問・リクエスト箱からどうぞ。

この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。症状が続くとき、痛みが強いときは、自己判断せず医師にご相談ください。